2025年4月23日
代表取締役 植山が語る SATORI新ビジョンに込めた想い

皆さん、こんにちは。SATORI株式会社 代表取締役の植山です
この度、2025年4月に、私たちSATORIはこれまでのミッションに加えて、新たなビジョンを発表いたしました。
本記事では、新ビジョンの内容とそれに込めた私の想いをお伝えします。
背景
2025年、SATORIは創業から10年という節目を迎えます。この10年で、業界を取り巻く環境は大きく変わりました。そして私たち自身も、その波のなかで変化と進化を重ねてきました。プロダクトは磨かれ、組織には新しい仲間が加わり、M&Aによる新たな事業との出会いもありました。いずれも、未来へ向けた挑戦の積み重ねです。そして今、この節目を迎えるにあたり、私たちはある問いに向き合っています。
SATORIは、次の10年でどこを目指すのか?
会社の規模をただ大きくするだけではなく、社会の中でどんな存在意義を発揮するのか。お客様にどんな未来を届けたいのか。私たち自身は何に情熱を燃やして生きていくのか。この問いに答えることが、これからの10年をつくる起点になると私は考えました。
約1年をかけて社内で対話を重ね、心の奥になる本音を掘り起こし、議論を重ねてきました。目指したのは、誰かに言わされるビジョンではなく、自分達の内なる情熱に火をつけるようなビジョンです。
新ビジョン
新しいビジョンは「その情熱と好奇心が誰かの価値になる」です。
創業以来のミッションとともに完成した、新たな企業理念がこちらです。
ビジョン
その情熱と好奇心が誰かの価値になる
ミッション
あなたのマーケティング活動を一歩先へ
なぜ「情熱と好奇心」なのか?
まずは「情熱と好奇心」という言葉にこめた想いをお話させてください。
私たちは誰もが、オギャーと生まれたときから 情熱と好奇心 を持っています。子供の頃、夢中で砂遊びに没頭したり、虫を追いかけたり、絵筆を走らせる。時間を忘れ、ただただその瞬間に心を奪われ、突き動かされるような感覚。それは、私たち人間が本来持っている、根源的なエネルギーです。芸術家・岡本太郎氏はこんな言葉を残しています。
“(子供が絵を)描くのは、子供の猛烈な生命力のディスチャージ(放出)であり、アクションであって、結果なんか問題ではないのだ。”
-岡本太郎 『誰だって芸術家』
この”生命力の放出”こそが、情熱であり好奇心です。それは生きる喜びであり、生命の証でもあります。
しかし、私たちは成長するにつれて、社会のルールや常識を学び、物事を「こうあるべき」と考えるようになります。「上手くかきたい」「褒められる絵をつくりたい」と頭で理屈をこねながら考えていく。失敗を恐れたり、周りの目を気にしたりするうちに、あの時胸を焦がした熱い想いに、自ら蓋をしていきます。
歳をとり、人生をうまく生きるのがどんどん上手くなっていく。どうやれば効率的に結果が出せるか、苦労せずにお金が稼げるか、タイパはどうか。そしていつしか、理屈・効率・合理性こそが大事なものであり、「純粋な情熱や好奇心だけでは生きていけない」「好きなことだけやっていても、食べていけない」と心から信じてしまうようになります。
生き抜くためにそうならざるを得ないのだけれど、ふと立ち止まったとき、私たちは心の奥底で何か大切なものを置き去りにしてきたような、そんな寂しさを感じるようになります。その寂しさこそが”オトナ”になるということなのかもしれません。
それは社会の価値になる
しかし、その本能的な力を失っていくことを、単純に「寂しい」「仕方がない」「オトナになった」で終わらせてはいけないのではないか。私は社会人になり30年、40年と生きるにつれ、強くそう思うようになりました。
“私には特別の才能はない。ただ私は、情熱的に好奇心が旺盛なだけだ”
ーアルベルト・アインシュタイン
情熱と好奇心こそが、偉大な発見や創造の源泉である、と語るアインシュタインのこの言葉は、なんともカッコいいものです。彼は、情熱と好奇心を原動力に、世界に大きなインパクトを与えました。しかし私たちオトナは、ついこう思ってしまいます。
「そんなのは一部の天才の話だ」「時代が違うし運が良かっただけじゃないか」
小中高の頃、私には誰よりも情熱を持って何かに打ち込んでいた仲間たちがいました。すごい熱量で何かを作り出したり、語ったり、夢を追いかけたりしていました。けれど、大人になった彼らの多くは、必ずしも社会的に成功しているわけではありませんでした。環境に恵まれず、目の輝きを失っていたり、経済的な豊かさを得られず、いまだにアルバイトを続けていたり…。彼らの持っていた素晴らしい才能と熱意は、社会の中で活かされず、くずぶっていました。まさに「純粋な情熱や好奇心だけでは生きていけない」という現実です。
果たして本当にそれでよいのか。私は目の前の事実をそう簡単に片づけることが出来ませんでした。なぜなら、私の友人たちは、誰にも負けないほど素晴らしい情熱と好奇心をもち、私は彼らを羨望と尊敬の目で見ていたからです。その力強さは、今も私の心の中に強く焼き付いています。この出来事をきっかけに、以前から心の片隅にあった違和感が具体的な問いへと変わりました。
どのようにすれば彼らに光を当てることができるのか。
どのようにすれば彼らは情熱と好奇心で飯が食えるようになるのか。
どのようにすればもっと多くの情熱と好奇心を社会の価値に変えられるのか。
もしこれが可能になるなら、彼らはもちろんのこと、社会に埋もれた数々の情熱を引き出すことで、計り知れない価値を生み出すことができるのではないか。
私はその問いへの答えを「マーケティング」という技術に託しました。
マーケティングは夢を実現する武器
私たちのミッションは、これまでと変わらず「あなたのマーケティング活動を一歩先へ」です。
“マーケティングとは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである”
-ピーター・ドラッカー
マーケティング活動は、売上をあげる民間企業ではもちろんのこと、いまや研究機関やNPOでも必須の活動です。
例えば、ハーバード大学では、立派なマーケティングチームが、学生・ 卒業生・その家族をターゲットに、寄付の候補者を募る強力なマーケティング活動をおこなっています。また、日本のNPO「TABLE FOR TWO」では、日本人が求めているヘルシーな食事で減らしたカロリーを、発展途上国で苦しんでいる子供たちに送る。そのヘルシーな食事をESGを大事にする大手企業の社食で提供するという仕組みで、アジアマーケティング大賞をとっています。
つまりマーケティングは、商品やサービスを売るためのテクニックであると同時に、価値あるものを顧客に届けるための仕組みづくりでもあります。一人ひとりが抱く情熱や、まだ形になっていない好奇心の種を見つけ、育て、社会という土壌に根付かせ、花を咲かせ、継続発展させるためのプロセスなのです。
私がかつて羨望の眼差しで見ていた彼らの情熱と好奇心。彼らの挑戦と夢。それらにマーケティングの力をかけ合わせれば、社会の価値につなげることが出来るはず。世の中に埋もれた数々の情熱を引き出し、計り知れない価値へと変換できるはず。
マーケティングという武器で、皆が持つ夢やビジョンを実現していきたい。これが私たちのミッションに込めた想いです。
あなたの内にある情熱と好奇心
偉大な先人たちの言葉、素晴らしい組織の話を並べてしまいましたが、それを見ると「やっぱり壮大な理想が必要だよね…」と思うかもしれません。しかし、私が伝えたいことは、もっと身近な、私たち一人ひとりの内なる声に耳を傾けることの大切さです。
「なんだか気になる」「ちょっと試してみたい」「もう少し知りたい」——あなたの中にある、まだ小さくとも確かな情熱と好奇心。
そんな小さな心の動きを無視せず、大切に育て、行動に移してみる。それは、効率・理屈・打算といった、いわゆるオトナな考え方だけでは辿り着けない、新しい価値を生み出す第一歩、ワクワクするような未来を作り出す原動力になります。
新しいビジョン「その情熱と好奇心が誰かの価値になる」の「その」には、SATORI社員はもちろん、私たちのお客様、ステイクホルダーの皆さま、そしてこの記事を読んでいるあなた、全ての人々が含まれています。
皆さん一人ひとりの情熱と好奇心は、必ず誰かの価値につながるチカラとなります。
最後に
私たちのビジョンは、「世界平和」「全ての人を幸せにする」「業界No.1」といった壮大で理想的な宣言ではありません。
私たちが目指したのは、もっと手触り感がある、心の内面に深く響くようなものです。半径5メートル以内の、自分、家族、友人、仲間、社員、お客様、そして私たちの周りのコミュニティ。そうした身近な人々が、当事者として想いを乗せることができるものでした。
世の中の一人ひとりの思いが強くなり、重なり、繋がり、何倍にもなれば、結果として「情熱と好奇心を大事にしたいと思える生活」「情熱と好奇心によって次々に新しい価値やイノベーションが生まれてくる社会」を実現していけるはず。
そんなこだわりを込めたのが、この新しいビジョンです。
ビジョン
その情熱と好奇心が誰かの価値になる
ミッション
あなたのマーケティング活動を一歩先へ
SATORIが、これから社会の中でどんな存在意義を発揮するのか。お客様にどんな未来を届けたいのか。私たち自身は何に情熱を燃やして生きていくのか。
私たちはマーケティングの力によって、一人ひとりの、SATORIに関わる全ての人の、情熱と好奇心を解き放ち、それを誰かの価値へと繋げていきます。
このビジョンを起点として、SATORIは次の10年をスタートします。
最後に。当社が多くのインスピレーションを受けてきた故野中郁次郎先生の言葉で、この記事を締めたいと思います。
“日本人よ、いまこそ野生に目覚めよ”
ー野中郁次郎『野生の経営』
あなたの野生的本能で、毎日を彩り、自分を、仲間を、社会を、日本を、力強く花開かせていく。
マーケティングの力とともに、そして、SATORIとともにそれを実現していただくことが、私たちの願いです。
引き続きSATORIをどうぞよろしくお願いいたします。
余談
私が思うに、アインシュタインは、運任せで成功したのではありません。彼は、自らの情熱と好奇心に正直に生きただけでなく、それを「社会に届く力」に変える手段として、“言葉”の持つ力を深く理解していた人でした。
“すべては可能な限り単純にすべきだが、それ以上単純にしてはならない”
ーアルベルト・アインシュタイン
これも彼の言葉ですが、「言葉は単純化しすぎると誤解を招くが、簡潔な分かりやすさは、効果的なコミュニケーションに不可欠である」という主張です。この考え方は、まさに「マーケティングコミュニケーション」の本質そのものです。「ただ私は、情熱的に好奇心が旺盛なだけだ」という先ほどの言葉も、実は、意図的に人を動かすための、よくよく考えられた言葉であったのだと思います。
アインシュタインは、情熱と好奇心はもちろんのこと、マーケティングという夢を実現する武器も備え持っていたのです。

- このブログを書いた人
- 代表取締役 植山浩介